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会員コラム

講壇に立つ

斉藤道俊法律事務所 岩 田 圭 只

 この4月から,帯広畜産大学において私の所属する事務所の弁護士3人で手分けして講義を受け持つこととなり,「私でいいんですか?」などと言っている暇もなく非常勤講師ということになってしまった。

 教える科目は法学(日本国憲法)ということになっている。私は,まだ駆け出しの弁護士に過ぎないが,思い掛けず大学の講壇に立たせて頂くという機会に恵まれ,非常に有り難いことであると感じている。

 ところで,私の学生時代にも,教養課程で日本国憲法の講義もあったような気がしたが,気がした,というくらいであるからろくに出席していない。とにかく,憲法の勉強についていうならば,私のころは芦部教授や佐藤教授の本があったが,読んでみたところであまり良く分からなかったので,当初,勉強することを拒絶していた感もないわけではない。

 私の経験上もこのような経緯であるから,憲法の勉強をしてもらうにせよ,半年程度の講義で緻密な解釈論を展開していくのは無理であるし,何より面白くないのではないかと思っている。

 そこで,講義の目的をどこに置くか,ということになるが,帯広畜産大学で憲法を取る学生たちには,せめて,憲法的なセンスを身につけて社会へ出て行って欲しい,と私は考えている。

 とにかく,最近の世の中には,憲法的なセンスがない人が多い。というよりは,現首相にしてすら内閣総理大臣の肩書きで神社に参拝したり,自衛隊を海外に派兵するなどしているようなざまであるから,一般の公務員,あるいは一般の市民に至っては推して知るべしとでもいうべきか,全く以て目を覆うべき状況である。

 このような状況であるから,憲法を学ぶ学生たちにとっては,憲法を単に知識として学ぶということだけではだめで,具体的な憲法問題に対し,適切に答えを出せるようにすることまで意識して欲しいと私は思っている。ただ周囲の動向や報道のみに流されるのではなく,自律的に憲法問題を判断できる程度までは意識してもらう必要がある,ということである。

特に,帯広畜産大学の卒業生のうちには,公務員として就職する者も少なくはないということのようであるから,そういった学生たちには,特に憲法的なセンスをしっかり身につけてもらった上で,今後の職務に当たって欲しいと切に願っている。

 私の願いが,どこまで学生たちに聞き届けてもらえるかどうかは,私の教え方の手腕にも掛かっているというところであるが(そこが一番問題である),ひとまず,学生たちには分かりやすく丁寧に,憲法の基本的な考え方を解説していきたい,と思っている次第である。