Home >
平成14年6月 通知票が大きく変わります この春から、中学校の通知票の評価方法が、「相対評価」から「絶対評価」へ変わりました。 今までの評価方法はこうです。クラスで「5」と評価されるのは7%、同様に「4」は24%、「3」は38%と決まっていました。ですから、クラスで「5」がつく生徒は2〜3人、「4」は9〜10人、「3」は15〜16人だったわけです。(「1」は「5」と同じ割合、「2」は「4」と同じ割合です。以上は40人学級の場合です) それが、今年度からはどうなるのか?何と、「1」も「5」も人数の制限がなくなってしまうのです…。では、具体的にどういうことになるかといいますと、例えば、試験で90点以上を取る力がある生徒が、勉強不足で80点だった場合、「3」と評価され、いつも20点台の生徒が40点を取った場合、「4」と評価されることも、冗談ではなく十分にあり得るのです…。 生徒たちに話をすると、「やった!じゃあ、内申点を取りやすくなるんだね?」と安心してしまうようですが、この「絶対評価」には、大きな落とし穴があります…。まず第一に、評価をする側、つまり学校の先生ですが、どこまで客観的に公平に評価できるのか?(本当に公平にできるのか?そこに、主観が入る余地が大きいのではないのか?)それが最初の問題点です。 すでに我々は、この春からの「新指導要領」の導入によって、予想通り、学校の現場で『今まで以上にひどい=「手抜き」授業の実態』、それを多く見聞きしています…。ある中学校では、中3数学の「因数分解」の単元を、教科書の例題のみを解いて終了。(ちょっと待てオイ!「展開」と「因数分解」って、数を消化しなきゃ身につくわけないべ?何考えてんのアンタら?試験を簡単にしてごまかすんじゃないよ!一体、どこまで手を抜けば気が済むのよ?)これなどは、開いた口がふさがらないほどの「手抜き」ですね! しかしながら、この傾向は、特に理数系において顕著です。一部教員たちの指導から、「どうせ、やってもわからないんだろうし…」「どうせ、塾へ通っている生徒は塾でやるんだろうし…」「どうせ、親もわかっていないし…」「小学校で計算力が身についていないのが悪いんだから…」そんな思いが、生徒やご父母の話を通して伝わってきます。 さて、「絶対評価」になると、自分の授業の「手抜き」を通知票でごまかすことができる!そして実際に、そういうケースが増えそうです。生徒が点数を取れなくても、「1」や「2」をつけてしまえば、自分の指導力が問題にされるわけですから、「う〜ん、困った。じゃあ全員を「3」以上にしちゃえ」高い確率で、こんな感じになってしまうでしょう。極論を言えば、「1」は登校拒否で試験を受けない生徒へつけるもの。「2」は素行不良でまったく勉強をしない生徒へつけるもの。そうなってしまう可能性が非常に高いと私は考えます。 第二の問題点は、そんなあやふやな評価ですから、今以上に、「競争意識の低下」「学習意欲の低下」をあおります。仕事で手抜きをしても、給料が上がりも下がりもしない。昇格も降格も関係ない。リストラもされない。もしそんな会社があったならどうでしょうか?有能な社員がいたとしても、やがてほぼ全員がグウタラ社員になってしまいます。それと同じ理屈(?)で、「上位の生徒は、競争をさせないので伸びない」「中間層が過大に評価され、安心してやはり伸びなくなる」「下位層も評価が上がるので、さらに努力をしなくなる」そうなることと思います。そんな評価に、何の意味があるのでしょうか? 第三の問題点は、「入試で必要な、客観的学力がつかめない」ことです。通知票の評価はオール4以上。○○高校を目指せる位置にいて当然なのに、しかし、入試レベルの問題にはまったく歯が立たない…。まちがいなく、そういうタイプの生徒が大きく増えるはずです。
高校入試も変わります 高校入試の内申書も、「絶対評価」に移行していきます。以上のように、評価基準のあいまいさは否定できず、内申書の中学校間の格差は明白です。公立高校の入試の場合、上位校では、「作文」「小論文」「適性試験」を導入し、今以上に学力を問う方法が導入され、中〜下位校では、「活動の記録」「資格」「面接」を重視することが多くなりそうです。 一方、2002年からも、授業時間、学習内容を削減しない私立中学校は約半数あり、60%以上の私立中学校が、以前の学習内容で入学試験を実施する予定です。上位私立高校と一般的な公立高校の学力格差、大学進学実績の差は、歴然となるはずです。北海道は、東京などとは違い、一般に公立高校へ進学する場合が多いですが、これからは、特に中高(大)一環教育の私立の人気が、一気に高まりそうです。 結論をいうと、人気のある一部の私立中学・私立高校は、今以上にかなりの「狭き門」になり、公立高校は、より「学力を重視」する上位校と、「調査書」を重視する中〜下位校に二分化しそうです。 さて、その先にある大学入試はどうなるのでしょうか?大学生の学力低下が、深刻な社会問題になっているからといって、大学入試自体が簡単になるわけではありません。2009年には、数字の上では大学全入時代に入ります。大学を選びさえしなければ、どこかの大学には入れるが、それで良いというわけにはいきません。2004年から、国公立大学の大部分が、センター試験を5教科7科目必須とします。 今年から始まった教育改革後、公立中学・高校で6年間に習得する英単語数は、約1500〜2000語。しかし、センター試験で平均点を取るために必要な単語数は、約5000語といわれています。小中学校で先送りされてきたツケが、一気に大学受験にまわってくるのです…。
壁を感じるこのごろです 私、この仕事に長く携わってきましたが、実は最近、一つの大きな「壁」に突き当たっています…。以前のそれは、「壁」というほどのものではなく、わりと簡単に打ち破ることができたので、あまり気にならなかったのですが、最近その「壁」は大きくそして厚くなってしまい、壊すのに骨が折れます。 それは何か?スバリ、
この2点です。 学力低下を防ぐために、いかに指導をするべきか…?今さらながら、思い悩む毎日です。プロとしてのプライドとノウハウ、そして情熱も持ち合わせているつもりなのですが、以前のように、それが生徒に伝わらないことが増えています。「どうしてだろう?もしかして、自分の講師としての旬は過ぎてしまったのか?」そんなことを思いながら、昔の先輩・同僚のベテラン講師たちに意見を聞いてみると、みな同様に悩んでいます…。 「ゆとり教育」が導入されてから、子どもたちは本当に勉強をしなくなりました。以前、このニュースレターにも書きましたが、昔のいわゆる「落ちこぼれ」といわれたレベル、今はそれが普通レベルの範疇に入るわけですから、指導する方も悩みます…。年々、子どもたちの「やる気」が失せています。こちらが、やるべきことを指示しても、それをやれば絶対に成績が上がるにも関わらず、いくら言っても腰を上げない。上位校を志望する生徒の中にも、すぐに悲鳴をあげ、楽な方へ逃げ出そうとする子がいます。「ほんの少しの努力、それがあればまだまだ伸びるのに、なぜそれをしないのか?」「たった少しの努力が、どうしてそれほどまでにまで苦しいのか?」残念ながら、そういう思いを強く抱いてしまう生徒が、増えています。 そして、それに追い打ちをかける、新指導要領の導入による指導内容の大幅削減。それに加えて、現場でのさらなる手抜き…。しかし、子どもたちは、そんな劣悪な学習環境を「あたりまえ」に思っており、こちらが「最低限」として求めること、それがなかなか通じません…。試験内容は、学習内容が簡単になっているわけですから、年々やさしくなっています。単純に考えれば、平均点は上がるはずですが、予想以上のスピードで、全体のレベルが下がっているわけですから、上がることはありません。悲しいことに、「敵」は、かなりのスピードで、更に強くなっています。こちらもパワーアップして、それを阻止なくてはなりません。
講師雑感7 〜学校と戦う塾講師〜 あちゃ〜、今月も「学校批判」をしてしまいました。ついでにオマケです。《以下、過激な内容につき削除しました!》
|