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  VOICE   No.15  

平成16年9月

早いもので…


 学習塾講師になって、早いもので14年の月日が流れました。先日、かつての教え子のみなさんにハガキを送りました。(近況報告と、ちゃっかり塾のPRも!)そうしたら、早速教室に遊びに来てくれた教え子や、メールや手紙で近況を伝えてくれた教え子が多数。本当に嬉しかったです。社会人としてバリバリ働いている人、結婚して子持ちの人、バツイチになっちゃった人、苦境の中でがんばっている人など…。私も、「社会人として負けていられないぞ!」と元気を分けてもらいました。(^・^)




教えすぎないことが学力を伸ばす


 学習塾講師になって少したったころ、ある疑問を持つようになりました。生徒にヤル気があるのなら、成績を伸ばすことは簡単です。30〜40人の生徒を前に、解りやすいプロの授業をすることもお手のものです。しかし、与えるばかりの授業では、成績向上は付け刃にすぎないのでは?ベテランになれば、試験に出題される所はすぐにわかるので、その点に重きを置いた『ものすごく効率の良い授業』をするわけです。しかし、実はそのこと自体は危険でもある。そう考えるようになったのです。

与えられる授業に慣れてしまった子どもたちは、常にそれを求めます。ところが、ご存知のように高校の勉強内容は、中学とは比較にならないほど高度になり、自力で学習を進める姿勢こそが重要になってきます。高校受験を突破して、合格はしたものの「どういう勉強をすれば良いのか?」肝心の勉強のしかたが身についていないのですから、困惑するのも当然といえます。『子どもの学力を伸ばすには、教えすぎないこと』これが、私が学習指導を通して、ある時点で得た結論です。




あえて負荷を与えること


 子どもの学習指導には、多少の負荷を与えることが必要になります。『教えすぎる』ことは、この負荷を最小限にしてしまいますが、『教えすぎない』ことは、あえて『頭に適度の負荷を与える』ことを意味します。

授業をしていると、我々塾講師は答えを教えたくなるものですが、その思いをグッとこらえて、あえて本人に自力で答えを導かせます。先々のことを考えると、教えすぎないことが、より学力を伸ばします。『どうすれば成績が上るか』よりも、『どう勉強をすれば良いのか』『どうすれば勉強をするようになるか』の方がより重要だと我々は考えます。成績は、努力の結果として後でついてくるものですから。




やる気を引き出すことば


 教えすぎないこと以前の問題として、どうやって子どものやる気を引き出すべきでしょうか?ご父母のみなさんへ、私はよく「ご自身の小中学生のころを思い出してください」とアドバイスをします。そうすると、子どもの心理や行動を理解できることが往々にしてあるのです。お父さん・お母さんは小中学生のころ、親に言われて勉強をがんばろうと思ったことはありますか?それはどんな時でしたか?

子どものやる気を引き出すには、『ほめること』『認めてあげること』これに尽きます。成績が上ったなら、ぜひ一緒に喜んであげてください。難しい問題ができたなら、ぜひほめてあげてください。「こんな問題もできないの?」「お兄ちゃんはできたのに…」などといった言葉は百害あって一利なし。子どもたち(実は大人も同じですが)は、他人と比べられたり自尊心を傷つけられたり、冷たい言い方をされると、どんどんやる気を失っていきます。

テストの結果が今一歩であったとしても、「勉強しなかったんだから反省しなさい!」などと突き放すのではなく、「この問題はちゃんとできているね。よかったね」「次のときは、こことここをうまくやれば、もっと伸びるね」などという具合に、できているところを見てほめてあげてください。「そんなことで、本当に成績が伸びるの?」と思うかも知れませんが、これがやる気を引き出す最高の秘訣なのです。子どもの自尊心を尊重した上で、「見守っているよ」「応援しているよ」「信じているよ」という姿勢を見せてあげてください。親から信頼されているという実感が、子どもたちの自信とやる気を育てるのです。




完璧主義は子どもの芽を摘む


 実は私、完璧主義のお母さん(お父さん)が大の苦手なんです!完璧主義者は物事がうまくいかなかった点を許せません。それを必ず責めます。完璧主義者は、自分を責めますが他人も責めがちです。責めるほこ先が子どもに向かうと、子どもにも常に完璧を求めます。

試験で、子どもがささいなミスをしたのが許せない。そこで、ああだこうだ「完璧に行動しろ」とうるさく小言を言ってしまう。子どもはわかっているんです。試験の結果が今一歩だったりしたら、自分のミスを後悔して萎縮しているんです。そこへもってきて完璧主義のお母さん(お父さん)にガミガミ言われたなら、ペチャンコに潰れてしまいます。

こういう完璧主義の教育方法は、やがて必ず破綻をむかえます。完璧な人間などいません。完璧な親というのもいません。やがて子どもは、「何だかんだ言っているけど、あんただって完璧じゃないじゃん!」親に対してそう思うようになります。完璧主義は子どもの自尊心を傷つけます。親子であっても人格は別のものです。今は「うん、うん」と素直に聞いていたとしても、抑圧されたエネルギーはいつか爆発します。時には暴れたりもするものです。ですから完璧主義の教育は絶対にいけません。




求められる力≪プラチナカラー≫


 子どもたちはやがて社会へ巣立って行きます。前号でもお話ししましたが、これからの社会では、親の世代とは明らかに違う能力が求められるようになります。江戸時代の日本は「家柄の時代」でした。家柄が良くなければ出世はのぞめない時代でした。少し前までの日本は「学歴の時代」でした。学歴が優先され、どんなに能力があっても、なかなか上へ行くことができない時代でした。でも、これからの時代は「本物の時代」になります。実力でどんどん上を目指せる半面、実力がなければ勝ち残れないという、本物だけが残る厳しい時代がやってくるのです。

企業の求める新しい人材像を抽象した新用語の一つに「プラチナカラー」というものがあります。有名大学を出て、知識量だけをもつ旧来の「エリート」ではなく、課題を解決する能力・論理的思考力・自己の考えを表現する能力・コミュニケーション能力。こうした能力を備えた、新しい人材像とのことです。これに加え『即戦力』も求められます。

今後、企業に求められる人材像とは、いつもニコニコして感じの良い人。それでいて問題を解決する能力の高い人。プラス即戦力。こんな人が活躍する時代になって行きます。ですから、これからの時代を乗り切るために子どもたちが身につけなければならない力とは、『努力する力』に他なりません。努力を積み重ねることにより、『自分の道を自分で切り開く力』『自分の身の回りに起こった問題を自力で解決する力』『自分で物事を考え判断する力』が身につくのですから。塾生のみんな、だから努力は大切なんだよ!




<今月のまとめ>


・教えすぎないことが学力を伸ばす。
・頭に負荷を与えることが大切。
・「ほめること」「認めてあげること」が子どものやる気を引き出す。
・完璧主義は子どもをダメにする。
・今後求められる人材はプラチナカラー。




講師雑感I〜斉藤一人さんのテープ〜


 斉藤一人さんという方をご存知でしょうか?6年連続納税額第1位。スリムドカンで有名な、銀座まるかんの創始者です。私、いわゆる成功本の類が好きでして色々と読んでみたのですが、どうもしっくりときません。ところが一人さんの本は、とっても面白くて実にためになるんです。幸せに楽しく生きるコツ(お金持ちになるコツも?)を、子どもにも分かる言葉でとても楽しく教えてくれます。

先日、親友から一人さんの講演テープ(非売品)をもらいました。うーん、目からウロコ&反省しきり…。ホントーにためになりました。皆さまにも、ぜひぜひ聴いていただきたいと思うんです!テープを聴いて、「家庭の中が明るくなった」「会社で社長にほめられた」「子どもの成績が伸びた」などの声が寄せられているそうです。ご希望の方は、ご遠慮なく私三木まで。ダビングしてプレゼントさせていただきます。あっ、宗教の勧誘じゃありませんし、もちろん無料です♪しつこいようですが、ホントーにためになります!