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  VOICE   No.18  

平成16年12月

学校と学習塾の進路指導


 中3生は、いよいよ三者面談の時期になりました。例の5%枠が廃止されたことに伴い、釧路市内の公立高校の倍率は例年よりも高くなることが予想されます。塾生と親御さんからの話によると、学校の進路指導は例年よりも格段に厳しい内容になっているようです。学校の進路指導と学習塾のそれには、見解の相違が起こることが多々あります。

学校は、9〜11月の総合ABC試験の3回の平均点を元に、生徒の11月時点の学力において進路指導をすることになります。もし私が学校の先生の立場であったなら、立場的にやはり多少の安全マージンをとって進路指導をすることになるかと思います。一方、学習塾には多くの最新受験データが存在し、模擬試験の結果から常に直近の学力(全道規模での偏差値)を把握しています。受験勉強の追い込みの時期に、得点が下がるということはまずあり得ません。

ですから、我々は学校とは異なり、12月以降、冬期講習会での学力の伸びを視野に入れて進路指導をすることになります。見解の相違はその点から生じますが、一学習塾講師として私は、過度の絶対安全策の進路指導にいつも疑問を抱いています。




迷ったら上を目指すべき!


 努力したら合格できるA高校と、今の学力のまま余裕で合格できるB高校があった場合、進路に迷う受験生は多いものです。私はこの場合、迷わずA高校を受験することをすすめます。「A高校へ行って勉強で苦労するより、B高校で良い成績を取って…」といった進路指導をする先生が多いかと思いますが、私の見解はまったく逆です!意外かも知れませんが、このような場合、過去の経験から、努力してA高校に合格した生徒の多くは、大きく崩れることはありません。

逆に、妥協してB高校を選択した生徒が上位の成績を維持していることは少ないと思うのです。(もちろん、生徒によりけりのケースバイケースですから、必ずしもそうなるわけではありませんが、このような傾向があるのが現実だと考えます)そもそも、高校の勉強は中学とは違い、「やらなければできない」わけですから、志望校のレベルを落としたから上位をキープできると考えるのは早計ですし、そのような考えには何の根拠もありません。ですから私は、塾生一人一人に「努力をして高校に入って欲しい!」と思っています。「目標は少し高めに設定すべきだ!」そう考えています。




否定的に「絶対」という言葉を使うな!


 進路指導には、私たちもシビアになります。塾生の一生に一度の大切な高校受験を一緒に考えるわけですから、軽率なことは言えません。さて、この時期になるといつも思うのですが、志望校合格は「絶対に無理!」と断言する学校の先生がたまにいらっしゃるようです…。塾生や親御さんからそういう話を聞くと、正直、強い憤りを感じます。

今まで、実に多くの受験生を見てきました。「絶対に合格は無理!」と言われたものの、見事に目標を突破した子どもたちを多く見てきました。先日も塾生と話したのですが、「絶対に無理って、軽々しく口していいのか?」と思うのです。「入試までの3か月で合計点を30点アップさせるのは、絶対に無理!」どうしてそんなことが断言できるのでしょうか?昨年の中3生の塾生の大半は、3か月で30点〜60点アップを果たしました。それこそ、最後の最後まで歯を食いしばって頑張り、ベストの結果を出しました。そもそも、3か月もあれば大抵のことはできてしまうと私は思うのです。

例えば、大人の我々が会社から、「3か月以内に、○○の資格と××の資格を取らなければ、あんたクビだよ!」と言われでもしたなら、どうするでしょうか?大半の人は必死になるでしょうね!そして、本気になって全力で打ち込んだなら、目標を突破する可能性は極めて高いはずだと思うのです。例えが良くないですが(笑)、「もし受験に失敗したら、銃殺される!」とでも思えば、2か月や3か月であったとしても、結果を出すことは十分に可能だと思うのです。

「絶対に無理」「絶対に不可能」などといった、人間の可能性を安易に否定するこれらのネガティブな言葉を聞くと、はっきり言って腹が立ちます。「否定的に、絶対という言葉を使うな!」声を大にしてそう言いたいです!




大平光代さんに学ぶ勉強の本質


 3・4年前にベストセラーになった、「だからあなたも生きぬいて」(講談社/大平光代著)は、ぜひとも塾生に読んでもらいたい珠玉の一冊です。【大平光代さんプロフィール:中学2年のときにいじめを苦にして自殺を図る。その後、非行に走り、16歳のとき極道の妻となり、背中に刺青をいれる。養父・大平浩三郎さんと出会って立ち直り、中卒の学歴を乗り越えて、「宅建」、「司法書士」と次々と合格し、29歳で、ついに「司法試験」に、一発で合格する。現在、非行少年の更生に努める弁護士として、東奔西走する毎日である。(同書はしがきより)】

大平さんが最初の資格である「宅建」を目指したころは、中学卒業程度の学力が身に付いていなかったようです。同書には、基本書を買ったものの読めない漢字が多くて、漢和辞典を引きながら勉強をしたとあります。そんな中で大平さんは勉強を続け、受験勉強の本質を知るに至ります。「(前略)そのうち勉強のコツというものがなんとなくわかってきた。メリハリが大切で、理解しなければならない科目と、理解までする必要はなく直前に暗記をすればよい教科があるということ。必死になって覚えたことでも時間が経てば忘れるのは当たり前で、試験の当日に思い出せるように、直前に見ることのできるものを残すのが勉強であるということ…など、自分なりに合格するためのポイントというのを吸収していった。勉強が次第に楽しくなってきた(後略)…」塾生のみなさんには、ぜひともこの文章を読んでもらいたいです!(お父さん・お母さん、ご協力をお願いいたします!)

受験生のみなさんは、そろそろ受験勉強本番で忙しくなるでしょうが、時間があったらぜひこの本を読んでください。(読みたい人は言ってね。いつでも貸しますからね)一人の人間が『本気』になったなら、どれだけのことができるかということを、ぜひとも知っておいてもらいたいんだ。

そして、大平さんも言っているように、@勉強にはメリハリが大切。A理解こそが大切な教科と、暗記重視の教科がある。B忘れては覚えを繰り返し、やがて忘れなくなる。C直前のまとめが大切。これらのことを忘れないで、「絶対に目標を突破するんだ!」との強い信念を持ってラストスパートだよ!




ちょっと厳しくなるけどゴメンね!


 先日、自主学習(ウチの教室は、いつでも自習スペースを開放しています)に来たある塾生に、『考えもしないで「分からない」って口にするな!』『やりもしないで「無理だ」とか「できない」って軽々しく口にするな!』と少々強い口調で言ってしまいました。この時期になると、受験生に対して徐々に厳しくなっていく自分がいます。(きついことを言い方をしてごめんね…。あれから少し反省しました。でも謝らないよ。その代り結果を出すことが、僕らプロフェッショナルの仕事だからね♪)

さて、いよいよ冬期講習会です。私たち講師陣も全力で行きますよ!受験生のみなさんも、いよいよ勝負の時が来たよ!




<今月のまとめ>


・志望校に迷ったなら上を目指すべき。
・目標は高めに設定すること。
・勉強にはメリハリが大切。
・理解こそが大切な教科と暗記重視の教科があることを区別する。
・覚えたことはやがて忘れてしまう。だから繰り返すことが大切。
・本当に本気になったならたいていの目標は突破できる!
・不可能と思ったなら実現可能なことも不可能になってしまう!




講師雑感L〜Sさんの話〜


 先日、かつての教え子のSさんが教室を尋ねてくれました。高校卒業後、専門学校へ行き歯科技工士の資格を取得して市内の歯科に勤め、結婚を間近に控えているとのことでした。(←またまた先を越されちゃいました!(>_<))さてSさん、中学生のころは勉強が全然できなくって、私たちが制止するのを振り払い、志望校のH高校に奇跡的に受かったんです。(ばらしちゃってごめんね!Sさん)

ところがSさん、専門学校へ行ってから、ムチャクチャに勉強をしたそうです。本人曰く、「人生観が変わるくらい」勉強に明け暮れた日々だったそうです。そして国家試験を1回で突破。その話を聞いて、胸がジーンと熱くなりました…。私は、今までさじを投げた生徒は一人もいないと思っています。しかし、Sさんは限りなくそのレベルに近かった。でも彼女は、信念を持ち自分の力を信じて努力を積み重ね、夢を実現しました。塾生のみんな、君らにもできないはずはないんだよ!