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平成17年8月
私は現在、子どもたちに「勉強のしかた」を伝える職業に就いていますが、学習塾講師になるまでは、それを突き詰めて考えたことはありませんでした。日々の学習指導をする中で、「どうやったら、効率よく点数を上げることができるか?」「どうやったら、分かりやすい授業ができるか?」「どうやったら、生徒のやる気を引き出せるか?」そういうことをずっと考え続けてきました。 さて、いつも塾生に偉そうなことを言っていますが、今回はリクエストをいただいたものですから、それらを応用した、自分自身のドタバタ受験(資格試験)体験記を書かせていただきたいと思います。<(_ _)>
手前味噌な話で、ちょっと恥ずかしいのですが、3年前、私は社会労務士試験を受験しました。試験は、午前が一次試験【選択試験】・午後が二次試験【択一試験】となっていて、一次試験の合格ボーダーは約7割、二次試験は6割強です。 この試験には、それに加えて恐怖の「足切り」があるんです。一次・二次試験ともに、主要教科は10教科。それが、それぞれ8つの分野に分けて出題されるのですが、そのうち1分野でも得点が悪いと、その時点でアウトなんです。つまり、合計16個置かれているハードルを全部クリアして、なおかつ合計ボーダーをクリアしなければ合格できないという試験なんです。試験の合格率は7〜9%です。 私は、受験勉強を始めるにあたって目標を設定しました。@トータル8割以上を得点して上位で合格する。A1500時間の勉強をする。Bどの分野も必ず平均点以上を取る。C何が何でも一発で合格を決める。というものです。(BCは達成しましたが、@Aは達成できませんでした)
さて、実際に勉強を進めていくと、得意教科と不得意教科の理解度の差が、思った以上にあることに気付きました。私は年金の分野が苦手だったので、人よりもその分野に時間をあてました。「得意教科を『1』勉強したなら、苦手教科を『2』勉強する」という方法に徹したわけです。 (塾生のみんな、入試では「総合力」がものをいうんだよ。だから、苦手教科の克服ってのが、目標突破の大きなカギになるんだ。「受かればもうけもの」といった、運頼みの考えじゃなくって、「何点を取って合格するのか?」まず、それを決めることですよ。目標点を決めると、やるべきことがはっきりとしてくるからね) 受験勉強を開始したのが2月の上旬、試験は8月の下旬ですから、5か月半の勝負です。受験指導のプロという身ですから、いつも生徒に偉そうに言っている「勉強のしかた」を自分に応用して、何としてでも結果を出さなくてはなりません!
さて、勉強法の告白です(笑)。まず、多少分からないことがあっても、一通りの学習を終えることです。一通りテキストをやっつけたなら、二回目以降はじっくりと勉強を進めるのみです。この手の資格試験には、「特定の教科の勉強に深入りしすぎて、他の教科がおざなりになって合格できないタイプ」「自分の勉強のスタイルに固執して、周囲のアドバイスを受け入れないで合格できないタイプ」が多いものですが、その点に足元をすくわれないように心がけました。 (中高生にもたまにいるんです。例えば、戦時中の歴史にはマニアックでやたらくわしいものの、全体で見ると平均レベルかそれ以下。残念ながら、そういう一部の知識にこだわりすぎるタイプは、点数が伸びにくいものです。しつこいようだけど、入試は「総合力」の勝負です。得意教科を伸ばすのと同時に、苦手教科を克服することが大切です)
勉強時間を1500時間と設定したのは、合否のボーダーが700〜800時間にあると思われるので、2倍の勉強時間で必勝体制を敷いたからです。しかし、言うは易しで5か月半で1500時間を消化するとなると、1日8時間の勉強でも間に合いません。帰宅して勉強を開始するのは、何だかんだで午後11時頃。そこからの勉強では5〜6時間しか確保できないので、休みの日は、起きている時間はひたすら勉強。これで何とか勉強時間を確保しました。(結局、目標の1500時間には届かなくて、1400時間強の勉強時間でした) 社会保険労務士試験を5か月半で突破したというと、驚く人もいるのですが、何のことはありません。他の受験生が2年かけて消化する勉強量を、半年で消化しただけなんです。いつも塾生に、「人より理解するのに時間がかかるんだったら、人の倍やればいいだけだよ」と言うのですが、何とかしようと思ったならば、あとはやるしかありません!
私が使ったメイン・テキスト(通信教育で勉強を進めました。って、添削問題を一度も提出しない不良受講生でしたけど)は10冊でした。この10冊を、各10回くり返して問題を解くことが目標でしたが、何とかそれを終えました。暗記部分には、「必殺・マーカー攻撃」の勉強法が有効でした。(ペンでなぞって下敷きで隠して覚えるってやつです。社会科なんかの暗記教科には、効果絶大ですよ!詳しく知りたい人は質問してね) 社会保険労務士試験は、暗記との戦いという側面があり、覚えなければならない数字などが、実にたくさんあるのですが、それは後回しにしました。それよりも、制度の理解自体に重点を置いて勉強を進め、暗記は試験の直前期に集中してすることにしました。(社会科の定期試験の勉強にも、この方法は有効ですよ。まずはじっくり教科書を読み込んで、理解してから問題を解く。年号などの細かな暗記事項は、試験直前期に集中して覚えてしまうわけです) 勉強には、暗記よりも理解することが重要な教科と、理解したうえで暗記することが重要な教科がありますが、いずれにせよ、「覚えること」より理解することが先です。しっかりと理解してから、覚えるべきことを覚える。この点が大切です。
こう書いていると、順調に勉強を消化したと思われるかも知れませんが、なかなかハードでした!寝不足続きだったので、車をガードレールにめり込ませているのに気付かずに、更にアクセルを踏んでいたり(笑)。覚えては忘れの繰り返しで、忘却との戦いの日々でした。何度考えても理解できなくて、ベッドの中で悶絶したことも一度や二度ではありません。(それでも、週に1日は勉強は休みました。適度な休憩は絶対に必要です) お盆休みは、亡父のお寺参りにも行かずに(ゴメン!)ただひたすらに、過去問演習を繰り返しました。さて、試験本番が近づいてきました。二日前から試験地の札幌に宿泊して、ホテルで缶詰めになって総仕上げの勉強です。模擬試験をいくつか解いてみて、この時点で、「よし、これで目標ライン上に乗った」と自覚できました。
いよいよ、試験本番です。午前中の一次試験【選択試験】を終了し、午後の二次試験【択一試験】へ。択一試験は5肢択一問題なのですが、答えを二つに絞り込んで最後まで迷った問題が5問ありました。何とか解答用紙を埋めたものの、試験本番にミスはつきものです。終了後、試験会場の外で解答速報が配られるのですが、それを見て顔面蒼白! 二つに絞った5問のうち、合っていたのは1問だけ。完全に、逆を突いてしまいました…。おまけに、一次試験【選択試験】で自信を持って書いた答えに、解答欄の転記ミスが!こともあろうに、絶対やってはいけないミスを…。(塾生のみんな、これは絶対にやってはいけないミスですよ。悪いお手本ね!)気を取り直して、自己採点を続けた結果、足切りもクリアして、合計点もほぼ目標値でした。
そして、11月の合格発表。HPに自分の名前を見つけた時は、本当にうれしかったです。\(^o^)/(←朝から飲んじゃいました♪)試験結果は、目標とした8割には届かず、全体で7.7割の正答率でした。学習塾講師という職業に就いていなければ、独学での社会保険労務士試験の短期合格は、まず不可能だったと思います。この仕事を通して、効率の良い勉強方法を常に考え続け、その答えを自分の勉強にフィードバックしたので短期で突破できたと思います。 さて、塾生のみなさん。実は私もね、小中学生のころ、母親に「勉強しなさい」って言われ続けていたんですよ。みんなと同じかな(笑)?それが、この受験勉強の時にはね、「頼むから勉強するのをやめて」ってお願いされたんだ。「ザマミロ、勝った!」って思ったね(~o~)。次はみんなの番だよ。まずは、目標をはっきりと決めること。そうすると、そのために必要な点数や、どう勉強すればいいのかが見えてくるんだ。第一に目標設定だよ。
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