|
Home >
平成17年9月
採用したい若者ベスト5(厚生労働省「若年層の就職能力に関する実態調査」より)は、@コミュニケーション能力が高い。A基礎学力が高い。B責任感が強い。C積極的である。D行動力がある。となっています。なるほど、今の時代をよく反映している調査結果だと思います。このデータの背景には、若者の正社員離れ=フリーターやニートが増加していることがあり、間接的には、少子化がそれに拍車をかけていることが読み取れます。今回は、企業が求める採用したい若者像について考えてみたいと思います。
ここしばらくの間で、世の中の価値観は大きく変わってしまいましたよね。ルールやマナーもそうです。今の若者たちは、電車やバスの中で、平気で化粧をしたり物を食べたりしますが、彼らには抵抗感はあまりないようです。でも、それを見て思わず眉をひそめてしまう方も多いかと思います。私自身は、バイクで寝袋を積んで野宿の旅をするのが好きなので、地べたに座って食事をしたりとかは、あんまり抵抗がないんですけどね(笑)。 「最近の若者はなってない、今後が思いやられる」ということは、古今東西言われ続けてきたそうで、紀元前の遺跡にもそれが「落書き」として書かれているそうです。でもまぁ、いい歳をして「落書き」をしている大人の方が思いやられるとも言えますよね!
私の上の世代は「つっぱり世代」。はい、長い学ランや長いスカートが流行った世代ですね。下の世代は「新人類世代」。何を考えているのかがさっぱりわからないと言われた世代です。私の世代は「しらけ世代」。感動が薄くて、何事にも無気力・無関心と評された世代です。 さて、私が中学生のころは、校内暴力が社会問題になった時期でした。テレビのチャンネルを回せば(最近は、チャンネルを回すと言うと塾生に笑われます。今は、回しませんから!)、ニュースは常に校内暴力の話題。マスコミはこぞって、「荒れる学校」などと報道し、その原因を、難しそうな理屈で偉そうな大人たちがしゃべっていましたっけ。 でも、本当の原因って、何のことはありません。マスコミがあおるものだから、当時の血気さかんな中高生たちが、「俺たちも負けちゃいられない!」って追従しただけなんですよね。数年前に17歳の犯罪が取りざたされた時期がありましたが、それも同様だと思うんです。あおられると暴走する。若いころって、いつの時代もそういうものですよね。
学習塾講師という仕事をしていると、「最近の中高生って、昔と全然違うんでしょ?」という質問を受けるのですが、私は別に変わっていないと思うんです。基礎学力の低下が大きな社会問題になっていますが、まぁ、今も昔も、勉強する子はするし、しない子はしません。 変わったのは、むしろ親の方です。先日、夜中にタバコが切れてしまったので、歩いて近くのコンビニへ行ったのですが…。夜中の1時半を過ぎているのに、小学生2・3年生と思われる子どもが、親と一緒に買い物に来ていたんです(しかも、やたらうるさい)。「あと何時間かたったら、学校へ行かなきゃならないはずなのに、こんな時間に何をやっているんだ?」驚きました。 子どもが悪い事をしてもしからない親、しつけを放棄しているとしか思えない親。悲しいかな、そういう親を目にすることが多くなってしまいました。あっ、ウチの塾生の親御さんにはいませんからね!
今も昔も、子どもたちは同じことを大人に言います。(カッコ内はそれに対する私の答えです)「高校や大学なんか、別に行かなくたっていいじゃん」(その通り。別に行かなくたっていいよ。行きたければ行けばいいし、行きたくなければ行かなくっていい。大人になってから行くことだってできる。それだけ)「勉強ができたって、悪いヤツっているでしょ。勉強ができなくってもいいヤツがたくさんいる。なのに、どうして学力が評価されるの?」(勉強ができるできないと、良い人間か悪い人間かは、まったく別の問題。なんにも関係がない) 「勉強って、将来役に立つの?」(役に立つこともあれば、立たないこともある。それが現実)「高校を学力で分けるのは不平等。行きたい人を、全員入学させればいいのに」(受験の機会は平等に与えられている。でも、結果は平等じゃない。機会は平等でも結果は平等じゃない。これが世の中のあたり前のルール)「自分が将来何をやりたいのか、まだわからない」(実は大人だって、多くの人はそう思っている。時期が来たらなるようになるんだから、それまでに自分の可能性を高めておこう) そして、「これからの時代、将来がとても不安なんだけど…」という質問(悩み)。この質問への答えは、昔と今では大きく変わってきていると思います。昔は、一方ではそれは違うと思いながら、「良い学校を出て、一流会社に就職して…」とか、「学歴や資格で武装して…」と答える人が多かったですが、これからの時代は、それで生活が保障されそうもないのは明白です。で、その答えのヒントになるのが、先ほどの採用したい若者ベスト5ということになります。
若者は、今も昔も本質的には何も変わっていないんですよね。しかし、「誘惑」は格段に多くなっています。パソコンや携帯電話があれば、即座に必要な情報を手に入れることができる時代ですから、良いことも悪いことも筒抜けです。昔のように、世の中の醜い部分を親が見せないようにすることは、難しくなってきました。 「勉強しなさい!」って言われても、すぐそこにテレビゲームがあったら…。私がもし中学生だったら、はい、ゲームをやっちゃうでしょうね!ちなみに、ゲームをめぐる中学生の攻防(?)は強烈です。「だって、先生の中学生のころって、ゲームなんてなかったんでしょ?」「今よりも遊ぶ所がなかったし、することもなかったから、勉強する人が多かったんじゃないの?」って。(おいおい、俺らのころだってね、インベーダーだとかあったんだってば)でも、家へ帰ってきて、酒を飲もうか?ちょっと勉強をしようか?と迷った時に、ついつい酒に手が伸びてしまうわけですから、誘惑に弱いのは、私も彼らと変わりありませんね!
さて、採用したい若者ベスト5ですが、若者が磨くべき力はこの5つであることに、私もまったく同感です。@コミュニケーション能力が高い。これは、とっても大切ですね。色々な世代の人ときちんと話すことができる力。簡単そうでいて難しい能力だと思います。世の中では、TPOに応じて言葉を使い分けられることが求められます。目上の人に対して、自分の言葉できちんと話せることが大切になるし、敬語ができなければ礼儀を欠くことになってしまいます。また、話題も豊富であるべきですが、読書をしたり幅広い分野に関心を持っていなければ、なかなか身につかないものです。 A基礎学力が高い。やはり、何だかんだといっても基礎学力は重要です。仕事ができる人=基礎学力が身についている人ということにはなりませんが、問題を解決する能力は、物事を冷静に分析する力が土台になっているわけですから、順序立てて物事を考えることができる思考パターンを身につけていることが、必須になります。 B責任感が強い。若者の企業への定着率は、年々確実に下がってきています。フリーターと呼ばれる人の中には、責任が軽いからとの理由で正社員になることを嫌っている人も多いそうですが、パートやアルバイトであっても、企業は責任感のある人を探しています。責任感に欠ける人間を、ぜひ雇いたいという会社なんて、あるはずもないんですが。 C積極的である。D行動力がある。「ここの会社、休みが多そうだ」「この時給じゃなぁ…」社会保険労務士としての職業がら、ハローワークへよく行くのですが、求職中の若者たちがそう言っているのを、よく耳にします。仕事の中身よりも、お金と効率を優先して考えているわけですね。 企業は、「責任を持って、仕事をきちんとこなす人がほしい」「利益を上げるために、バリバリと仕事をする人がほしい」と思っているのに対して、働く人の中には、「できる限り、楽をしたい」「仕事の量を増やしてしまうと、忙しくなってしまうので避けたい」「仕事が増えても給料が上がらないなら、増やすのは損」と思っている人が多いものです。でも、そういう考えの人は、やがて淘汰されていくはずです。
希少価値があるものとスピードが速いものって、需要があるんですよね。それは、人間も同じです。ダラダラじゃなくて、テキパキとやる人。暗い顔じゃなくて、いつも笑顔の人。イヤイヤじゃなくて、バリバリやる人。できませんじゃなくて、やってみますという人。あいさつができない人じゃなくて、明るく元気にあいさつをする人。性格が悪い人じゃなくて、性格の良い人。自分が社長だったならどちらを選ぶか?答えは、言うまでもありませんよね。 自分が社長だったら、絶対に雇いたくないのはどういう人か?その反対の人物像を考えたら、採用したい若者像が浮き上がってきますね。で、やっぱり勉強も大切。ってことで塾生のみんな、勉強もちゃんとやろうね。たかが勉強、されど勉強。これからの時代はね、社会人としてのバランス感覚というものがとっても大切になるはずだよ!
|