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平成17年11月
今月も、思いっきり本音で書いていきます!「学習塾へ通うと、本当に成績が上がるの?」小中学生の親御さんなら、関心があることと思います。結論です。当教室の例では、約9割の生徒は、「成績が上がった」「家で勉強をするようになった」と親御さんが評価する一方、残りの約1割の生徒は、「成績が上がらない」「家でまったく勉強をしない」というのが実際です。 学習塾によって、その割合に開きがあるものと思いますが、どこの学習塾にも、成績が上がらない生徒が一部いるのが現実です。さて、その原因は何でしょう?今回は、その点について(今まであまり言ったことがありませんが)考えてみようと思います。
学習塾へ通い出して、急激に成績が伸びる生徒。いるんですよ!どういう生徒に多いかというと、「部活動や習い事が忙しくて、今まで真剣に勉強に取り組んで来なかった」「でも、成績は中の上で、通知表はオール3〜4」「課題や宿題には、まじめに取り組んできた」こういう生徒は、超高確率で伸びます。(はっきり言って、どこの学習塾へ通っても伸びますよ!) ある程度勉強をする習慣が身に付いているので、すぐにコツをつかんで一気に伸びていくというわけです。部活動が終わった9月以降に学習塾へ通い出した中3生の中には、こちらの予想を大きく越えて、驚異的に成績が伸びる生徒がいます。これは、成績が伸びる良い例ですが、逆にまったく伸びないという生徒も、少ないながらいるんです。
さて、ここから先はあまり語られることがありませんが、例によって言っちゃいますね!約束や時間にルーズな生徒。宿題(と言っても、量はさほど多くはありません)を出してもやってこない生徒。「できない」「わからない」が口ぐせで、考えようとしない生徒。人の話を聞こうとしない生徒。こういう生徒は難しいですね。 こちらとしては、「成績を上げるために、最低限必要なこと」を急いで消化したいのですが、それをやらないとなると、次の手が打てません。 更に悪いことに、親御さんの中には、ご家庭のご協力を求めても「お金を払っているんだから、塾がおさえつけてでも勉強をさせるのが当然」と拒否なさる方も…。はっきり言って、親御さんがそう考えているなら、どこの塾へ通っても伸びないでしょう。学習塾は、あくまで「勉強のしかた・問題の解き方」を学ぶ場所であって、基本的に勉強をする場所は家庭です。ご家庭のご協力なしに、生徒の成績が上がろうはずもありません。
かなり前のことですが、やはりその手のお母さんがいて、「とにかく、お金を払っているんだから、そちらで強制的に勉強をさせてください」とヒステリックに言われたことがあります。雇われの身だった当時の私には、それを断る権限は与えられていなかったので、売り言葉に買い言葉(?)で、「わかりました。じゃぁ、私の教科に関しては徹底的にやりますよ」と、本当に徹底的に勉強を強制したことがあります。 絶対に覚えるように指示したことをやって来なかったなら、覚えるまで居残り+ペナルティ。宿題をやってこなかったなら、すべてが終わるまで居残り+ペナルティ。その結果、いつも夜中まで居残りが続きました。最初は、親公認で遅くまで塾に残れることを喜んでいた本人も、「早く帰りたい」と泣き出す始末です。睡眠不足で体調不良になり、学校では保健室に行くことが多くなりました。そして、ついには迎えに来るお母さんがギブアップ。 私の知っている某学習塾(釧路じゃありません)は、「できるまで、わかるまで、何時まででも居残りさせる」ということをやっていました。ところが、実際にそれをやったらどうなったか?送り迎えのお母さん達が、悲鳴を上げてギブアップしたんです。「そこまでやってもらうと、逆に困ってしまうんです」だそうで(苦笑)。いやぁ、皮肉なものですね。
さて、話を元に戻しまして、成績が伸びない原因はどこにあるのか?ということですが、本人の気質・性格による部分も大きいものですが、私は家庭環境による部分も大きいと考えています。(もちろん、学習塾の力不足といった場合もあります)ありがたいことに、当教室はとてもご理解のあるご父母の方ばかりで助かっています。 私、ダメなんですよ。教育ママゴンや、「お金を払っているんだから、あとは全部そっちでやんなさいよ」という、押しつけ型のお母さんと面談すると、「じゃあ、他の塾へ行ってください」って追い返しちゃうんです。でも、プロの学習塾講師の本音です。妥協して預かったとしても、ご家庭のご協力を得られないのは明白ですから、子どもの成績が伸びる可能性は低いんです。
私、多くの生徒の前で集団授業を行ってきました。受け持った生徒は、3000人は下らないと思います。プロの学習塾講師として暴露しちゃいますね!一番楽な指導方法はですね、「生徒全員にテキストを与えて、予習を義務付ける方法」なんです。 授業は、「生徒が予習をしてきている」前提で進めるので、講師としてこんな楽な方法はありません。私は、そういう安易な指導法には反対ですが、大手の集団指導の学習塾には今でも多い形態です。なぜなら、力不足の講師やペーペーのアルバイト講師であったとしても、その方法なら何とかなるからなんです。 しかし、勉強のしかたがわからない子に「どうして、予習をしてこないんだ!」って、そりゃ無理ってもんです。それって、いじめですよ(笑)!最近は学力低下が深刻になり、そのような形式では授業が成り立たなくなってきています。「成績下位者は入塾お断り」としていた学習塾も、それでは経営が成り立たなくなるので、最近は入塾制限を撤廃・緩和する所が増えてきました。 このNLを書きはじめたころは、入塾制限を設けていた所が大半でしたが、わずか3・4年で大きく変わってきました。私の予言(?)通りになっちゃいましたよ!学習塾講師も、本当の指導力が問われるようになってきました。
生徒の勉強をじっくり見るということは、結局は「個別指導」になってしまうんです。例えば集団授業だと、どうしても中間レベルを想定した授業になってしまい、ある生徒には難しすぎ、逆にある生徒には易しすぎということになってしまいます。その点を補うには、個別に生徒を呼んで補習授業をするしかありません。 で、それをやるかやらないかは、講師の裁量です。ですから、集団授業であっても妥協しないで指導した場合は、最終的には個別指導になってしまうものです。(すみません、ちょっぴり個別指導の宣伝になってしまいましたね!)「あそこの塾は、面倒見がいい」とか「あの塾は、ぜんぜん面倒を見てくれない」というのは、講師がどこまで指導をしてくれるか。つまり、どれだけ個別に見てくれるかどうかにかかっているわけですから。
山本五十六(大日本帝国海軍・連合艦隊司令長官)元帥の言葉に、「やって見せて 言って聞かせて やらせてみて ほめてやらねば人は動かず」というものがあります。これは、人にものを教えるのに必要な要素を、実に簡潔にまとめた名言です。(当教室には《講師心得》として壁に貼っています。 @ やって見せること。A言って聞かせること。Bやらせてみること。プロの学習塾講師であるならば、誰もがここまではやりますが、Cほめてあげなければ人は動かない。ここなんですね、一番重要な部分は!子どもも大人も同じなんですよね。大人でも、例えば仕事でお客さんや上司にほめられたならうれしいものです!ほめられると、人は期待に応えようとしてより上を目指すものです。 思うに、学習塾講師のあるべき理想の姿も、この言葉どおりです。@ABCのすべてが必要です。そして、ご家庭の役割はABC。そう思うんです。学習塾は、家庭ではなかなかできない部分、@やって見せること。Bやらせてみること。この部分を補う場所であって、学習塾での学習も家庭での学習も、表裏一体であるべきもの。そういった視点に立った指導が何よりも大切だと思います。 要するに、ご家庭のご支援がなければ、伸びるべきものも伸びなくなってしまいます。先ほどのお母さんは、「お金を払っているんだから、@ABCを全部塾でやりなさいよ」と言っているのと同じなんですが、塾にいる時間と家にいる時間ってどっちが長いんですか?私は協力はしないけど、結果は出しなさいよ。って、そりゃぁ無理って言うもんです。
というわけで、お父さん・お母さんにお願いです。お子さんが、「勉強をした」ならほめてあげてください。ちょっと大げさかもしれませんが、「勉強をしようとした」だけでほめてあげてください。勉強をして疲れた顔をしていたなら、ねぎらいの言葉をかけてあげてください。そして、「自分は勉強に関して、これこれこういう経験をした。だから、勉強にはこういう考えを持っているんだ」というご自身の体験を、できるだけ具体的に話してあげてください。 実は、これが子どもを勉強へと向ける特効薬なんですね。以上をご協力いただくだけで、学習塾としては格段に指導しやすくなります。ご家庭のご協力あっての学習塾です。今後もよろしくお願いいたします。
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