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平成18年1月
中学生で勉強が大の苦手の生徒がいるとします。その原因を調べてみると、十中八九、小学校の勉強でつまづいているものです。勉強がだんだん難しくなる小4・小5あたりでつまずく場合が多いものですが、中には小1・小2の内容でつまづいている生徒もいます。 では、そもそも小学校で伸びる子・伸びない子の差はどこにあるのでしょうか?私は、小学校低学年の生徒を受け持った経験はあまり多くありませんが、多くの中学生を見てきた中で、つまづきの原因をたどっていくと、その大半は小学校の勉強にあるということがわかります。 さらに深く観察すると、小学校で伸びる子・伸びない子の差は、@「年齢に応じたことばやことがら」を知っているかどうか。A「人の話を聞いて理解できる土台」ができているかどうか。この二つの点にあるというのが私の持論です。
@Aが身についている子は伸びるし、身についていない子はなかなか伸びません。身についていない場合、本来知っているべきことばやことがらを知らないので、当然に同じ年齢の子より理解力が劣ってしまいます。結果、学校の勉強が理解できずに伸び悩んでしまい、やる気を失ってしまうという悪循環に陥ってしまうことになってしまいがちです。 通常は、小学校低学年の学習内容で大きくつまづいてしまうということはありませんが、まれにそういう子がいます。なぜそうなってしまうのでしょうか?@Aが身についていない原因をたどっていくと、「幼児期において、両親との対話が不足していたので身につかなかった」ことが原因になっている。そういう場合が多いと私は考えています。 何も知らない真っ白な状態の小さな子どもには、世の中の色々な物事やことがらを見せたり聞かせたりして教え続け、学んだ知識を使えるようになるまで、根気よく何度も繰り返し教えてあげることが必要です。就学前の子どもにそれを教えるのは、両親、とりわけお母さんの大切な役割になります。
ですから、幼児期・小学校低学年の時期には、色々なことに興味を持たせるように、子どもに語りかけることが何よりも大切になります。その際、お母さんが一方的にしゃべるのではなく、子どもの話を聞いてあげて子どもと対話することが重要です。「話のキャッチボール」をすることで、子どもの話す力と聞く力の両方が養われるものです。 ご存知のように、ことばの習得には読書がとても効果的です。幼児期には本の読み聞かせをしてあげて、小学校低学年くらいだと「どんなことが書いてあったの?お母さんに教えて」と話しかけ、読書をうながすこともよい方法でしょう。
さて、ここまでお読みになって、少し暗くなっちゃったお母さんはいらっしゃいませんか(笑)?でも、大丈夫ですよ。お母さんと本人が本気になったなら、今からだって何とかなります!中学校までの勉強は、やれば必ずできるようになるものです。 では、どうすれば良いのか?結論はズバリ、「習慣を変えること」です。(先月号でお話した、わからなくなった所まで戻って勉強しなおすというのは、その一例です)これができれば、勉強なんて何とでもなります。学習指導・受験指導をしていると、こちらが驚くほど伸びて一気にトップレベルに達する生徒がたまにいるんです。知識や解法のテクニックを伝えると、伝えた分だけ確実に吸収する生徒です。 しかし、冷静に分析してみると、そういう生徒は「もともと賢い」んですよね。それに、人の話を聞く姿勢・家庭学習の習慣が当然に身についているものです。学習塾講師がこう言うとお叱りを受けるかも知れませんが、残念ながら大半の生徒はそうはいきません。(もちろん、飛躍的とまではいかないにしろ成績は伸びるものですし、何とかして伸ばすのがわれわれ学習塾講師の仕事です)
本気で成績を伸ばそうと思うのなら、大切なのは「習慣を変える」ことなんです。勉強が得意ではない子の場合、高い確率で「マイナスのことば」を使うのがクセになっています。「無理」「できない」「わかんない」が口ぐせで、「自分はダメなんだ…」「どうせ、やってもできないんだ…」と決めつけてしまい、チャレンジする前からあきらめている子が多くいます。 プロの僕らから見ると、少しの努力で必ずできるようになるはずなのに、肝心の本人がそれに気付いていないんです。堅いカラの中に閉じこもっているようなイメージですね。その場合、僕らの仕事はカラをこわす手助けをすることからはじまります。(このカラが、年々厚くて丈夫になっている!というのがプロの学習塾講師の感想です) また、「次回の試験で80点を目標にしよう」といった目標設定ができていない子も多いものです。自分の可能性を信じなければ、教える側がいくら知識や解法のテクニックを伝えたとしても無駄になってしまいます。自分の可能性を信じることが先決です。宗教だって、「信」がなければ成り立たないものですよね。自分の可能性を「信」じなければ、伸びるべきものも伸びなくなってしまいます。 とはいえ、最初はなかなか自信を持てないものです。ですからわれわれは、勉強が苦手な生徒には「簡単なことをたくさんやってみる勉強」と「わかるところまで戻る勉強(リターン学習)」をおすすめしています。理科や社会科が苦手だったら、まずは一問一答形式の易しい問題をたくさんやって用語を確実に覚えてみること。英語や数学が苦手だったら、スラスラできるところまで戻って勉強しなおしてみること。そうやって少しずつ自信を取り戻すことが大切だと考えます。
でも、「習慣を変える」ということは、簡単そうでいてなかなか難しいものですよね。偉そうなことを言っている私も、実はかなりの怠け者でチャランポランですから(反省)…。でも、僕らが塾生に言っていることはそんなに難しいことではありません。「できない」「わかんない」「無理」というマイナスの口ぐせを、「ここまではできた」「ここまではわかった」とプラスの口ぐせに変えていきましょう。「なるほど」「やった」「わかった」「できた」が口ぐせになると、僕らや親御さんが黙っていても成績は伸びていくものです。 目標がない生徒は目標を持つことです。ちょっと高めぐらいがベストです。で、目標(試験での目標点や志望校)を紙に書いて明確にしましょう。姿勢の悪い生徒は集中力が続かないものです。きちんとした姿勢で座るようにしましょう。計算ミスを連発してしまう生徒は、必ず途中式を書くようにしましょう。夜更かしをして生活のリズムが狂いがちな生徒は、早寝・早起きを心がけましょう。このように「良い習慣」をまず形からまねてみましょう。「良い習慣」はやがて「自信」につながり、「自信」は「やる気」につながります。
以前、何かの本で読んだ話なのですが、同じ学力レベルの子どもたちを集めて2グループに分け、一方は「能力が高い子を集めたグループ」、他方は「普通の学力の子を集めたグループ」と教師に伝えておき、学力の伸びを実験してみたそうです。その結果、教える側が「この子たちはできるんだ」と信じて指導した前のグループは顕著に学力が伸び、後者は特に伸びが見られなかったそうです。 毎度おなじみのまとめになりますが(笑)、「ほめること」「信じること」で子どもの学力は伸びるものです。子どもたちにとって、将来の自信のよりどころとなるのは「自分を認めてもらった経験」だと思います。勉強で認めてもらう・部活や習い事で認めてもらう・趣味や特技で認めてもらう、色々あるでしょうがわれわれは塾人ですから、勉強を通してそういう経験をする子が一人でも増えるお手伝いをしたいと考えています。本年も変わらぬご支援のほど、お願い申し上げます。
学習塾業界には、「退塾率」という耳慣れないことばが存在します。全塾生に占める退塾生の割合を示すものですが、この数字が5%を切ると「優良塾」「超優良塾」というランクづけになるそうです。(5〜10%といったところが一般的な数字だと思います)おかげさまで当教室は「退塾率ゼロ」を達成しました!(平成17年3月から現在まで。進路決定による高校生の退塾者を除きます)ありがとうございました。 |