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  VOICE   No. 34 

平成 18年 5月

虫捕り職人

実は私、子どものころ「虫捕り職人」\(^o^)/だったんです。物心ついたころから昆虫が大好きで、幼稚園児のころ、大きな毛虫をたくさん虫かごに入れて、母の日に、母に「はい!」って「毛虫の詰め合わせ」ギフトをプレゼントしたことがあります。そうしたら、「キャーッ!」という悲鳴と同時に虫かごをひったくられて、窓から外に捨てられました。喜んでくれると思ったんですけどね!

ここだけの話ですが、今でもクワガタムシ採集が大好きです。夏の夜に田舎へ行くと、水銀灯の下に、飛んできたクワガタムシやらゲンゴロウやらが落ちているんですよ。それを、狂喜しながら採集するってわけです。(で、ひそかに家で飼育します)

暑い夏の夜に、鶴居村あたりで、懐中電灯と虫かごを持ちながら水銀灯の下を歩いている不審者がいたら、おそらく私です!(以前、おまわりさんに職務質問されたことがあります。アハハ)

さすがに今は…

 小学生のころ、春・夏・秋は、昆虫採集の毎日でした。池や小川やドブ(ドブすくいをやっていたんですね。あらら)を見たら、愛用のザル(!)で水棲昆虫や小魚をすくい、クヌギの木を見つけたら、まずはゆすってみてクワガタムシが落ちてこないか調査。大きな石があったら、とりあえずはぐってみて何かいないか確認。

クモもムカデもワラジムシも、何でもへっちゃらで、手のひらに乗っけてニコニコしていました。近所の人は、私が無類の虫好き少年だということを知っていたので、家の中にワラジムシやクモや便所コオロギ(正式名カマドウマ)が出没したら、お呼びがかかります。で、それを素手で駆除して、ご褒美におやつをごちそうになったり。さすがに、今はクモやワラジムシは素手でつかめませんけど(苦笑)。

親に買ってもらった昆虫図鑑が宝物でした。毎日毎日めくっていたのでボロボロになってしまい、もう1冊同じ図鑑を買ってもらったほど、昆虫が大好きでした。ある日、半透明で琥珀のように美しく輝く小さな虫を見つけ、「何てきれいな虫なんだろう」と感動し、図鑑で調べてみると「ジンガサハムシ」(陣笠葉虫と書きます)という虫であることを知りました。今でも、その時の感動を覚えています。

プチ動植物園&水族館

 虫だけでなく、動物・植物も大好きで、動物も色々飼いました。熱帯魚色々に金魚にフナにドジョウにメダカにその他淡水魚。ハムスターにウサギ。ニワトリ(縁日の夜店で買ったヒヨコが巨大化したもの)にジュウシマツにセキセイインコにウズラ。カメ軍団にカナヘビにカエルにサンショウウオにイモリ。陸ヤドカリに淡水ガニにザリガニなど。

もちろん、カブトムシやクワガタムシやカマキリやバッタ・コオロギなどの虫軍団も…。家の中と外は水槽だらけ。当時住んでいた古い家には庭があったので、色々な野菜の種をまきました。えー、とうもろこしにだいこん・にんじん・じゃがいもなど。おいしかったです、はい。色々な花の種もまきました。

当時、学研の「学習」と「科学」という小学生向けの雑誌があったのですが、母にお願いして毎月とっていたんです。毎月の付録がとってもおもしろくて、わくわくドキドキでした。ある号に、たしか「ヒアシンスの水栽培セット」がついてきたんです。それで、当時小4か小5の私は「球根」の魅力にはまっちゃいました。

で、サフラン・グラジオラス・スイセン・テッポウユリ・オニユリ・ヒアシンス・チューリップ・アマリリスなどの球根を植え、花だらけの庭をつくって楽しんでいました。(今でも球根もの、特にユリが大好きです。わが家の庭は、カサブランカとクロユリだらけです)また、ある号には「カイコの飼育セット」がついてきまして、これも燃えましたね!というわけで、当時のわが家は「プチ動植物園&水族館」状態でした。

次は釣りにはまる

 ある時、父が「釣りをやろう」と言い出して、私も一緒に釣りをはじめたのですが、こっちの方ももちろんはまってしまいました。小学校高学年・中学生のころは、投げ釣り・ウキ釣り・ルアー釣りにはまり、日曜日は朝から晩まで釣り三昧でした。(ちなみに、今でも車にルアー釣り道具を積んでいます)

ルアーを改造したり、えさを色々変えて試してみたり、釣った魚を家で飼ったり、楽しかったです。釧路に来てからは、海の近くに住んでいたので、ヒマがあれば「カニ釣り」をしていましたっけ。

今は、漁業権がうるさいのでカニ釣りはご法度ですが、当時はアバウトでした。昆布ガニってやつですね。花咲ガニの小さなやつです。とりたての昆布ガニを、鉄砲汁にすると絶品なんですよね。うーむ、今思えば何とグルメな中学生時代(笑)。

自然の中で遊ぶ

 小学生のころ私は、「将来は、昆虫学者か動物学者になりたい」と思っていたのですが、まったく関係のない仕事に就いちゃいました(~o~)。さて、今は学習塾講師として、「自然の中で遊ぶことが、子どもたちの能力を引き出す」と考えています。虫捕り職人だった私は、小学校・中学校のころ理科が大好きでした。(その後は例によって没落するんですけど!)

「魚類はみんな卵で産まれるんだ」と言う先生の説明に、「先生、グッピーやモーリーとかは卵胎生魚だから、卵生だけど子の形で産まれるよ」とか、「カレイとヒラメは目の位置が逆なんだ」という先生に、「先生、川ガレイはヒラメとおんなじだよ」とか言っておちょくっていました。嫌なガキですね。

都会では最近、池の写真を見て「これは川だ」と言い切る小さな子が増えていると聞きます。驚くことに、「朝日や夕日を一度も見たことがない」と答えた小中学生が、50%を超えたそうです。少し前に、「小学生の4割は、天動説(太陽は地球のまわりを回っている)を信じている」との記事が話題になりましたが、その原因は子どもたちの自然離れと実体験不足だと思います。

またたかない星

 夜空の星って、きれいですよね。冬は大気が澄んで気流が安定しているので、星はあまりまたたきません。モンゴルの草原だったと思いますが、星はまたたかないのがあたり前という話を聞いたことがあります。風のない、真冬の冷えきった晴れた夜に、「モンゴルの草原の夜空」を求めて、街明かりがまったく届かない山の中に夜空を見に行ったことがあります。

そうしたら、星空って本当に明るいんです。びっくりするほど星がたくさんあって、ほとんどまたたかないんですね。まるでプラネタリウムです。息を飲んで夜空を見上げていると、流れ星が驚くほど走るんです。子どもたちには、そんな素朴な自然の姿をできる限り見せてあげたいものです。

昔は、子どもたちは公園や空き地で、親の目を気にすることなく遊び、遊び場の中で色々なものに触れたり、工夫して遊んだりする中で人間関係のルールを学んだものですよね。ところが最近は、遊び場が不足していて、子どもたちの遊びもテレビゲームなどのバーチャルなものが主流です。虫捕りに走り回る子どもは皆無ですし、年々、自然離れが進んでいます。その結果、疑似体験は増えたものの実体験に乏しい子どもたちが増えてきました。

自然体験の早期教育こそ

 道東は、すばらしい自然に恵まれた土地です。自然と触れ合おうと思えば、すぐに触れ合うことができます。しかし、子どもたちと話してみると、みんな驚くほど自然体験が少ないんですよね。(ハエや蚊を見てキャーキャー言っている生徒には、絶句してしまいます)

このニュースレターでも、「生きる力」について色々と考えてきましたが、私の経験上、自然体験の豊富な子は、「機転が利く」「生活力がある」「判断力・推理力が高い」「応用力が高い」とか、そういう子が多いものです。学力の二極化が社会問題になっている中で、一部の教育熱心な家庭は、子どもの早期教育に力を入れています。

「早期教育は3歳まで」とか「6歳まで」とか言われていますが、私は、「自然体験の早期教育と継続こそが、子どもの情操教育と学力向上に有効だ」と考えています。よく遊び、よく学ぶってことです。シンプルで分かりやすいですね。というわけで、小さなお子さんのお母さんには、ぜひとも子どもと一緒に自然体験をしてほしいと思います。(虫をさわっても、叱っちゃダメですよ)

虫捕りのすすめ

 虫は、つかみ方を間違えると、手足が取れたりつぶれたりして死んでしまいます。(虫には悪いけど)そんな経験を積んで、つかみかたにも工夫が生まれ、命を奪った罪悪感から、小さな命を大切にする気持ちも生まれると思うんですよね。

虫捕り職人だった身としては、虫捕りをおすすめしたいですが、女の子にはちょっと無理がありますよね!虫がきらいな子は虫はパスして、ぜひとも、動物・植物と触れ合って欲しいものです。書いていたら、クワガタムシ捕りに行きたくなってきました!どなたか一緒に行きませんか?楽しいですよ♪