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平成 18年 11月 ことばの違い勉強がよくできる子と、勉強がとても苦手で、かつやる気がない子をじっくり観察してみると、習慣に実に大きな違いがあることがわかります。今からすごいことを言いますね(笑)。実は、同じ日本人でありながら、勉強に関して、そもそも喋っている言葉がまったく違うんです!前者は、「なるほど」「わかる」「できる(できた)」「あっ、そっか」「やった」「かんたん」「楽勝」「〜のおかげで」という言葉を使います。それに対して後者は、「無理」「できない」「わかんない」「〜のせいで」「むかつく」「つまんない」「もうやだ」「めんどうくさい」「疲れた」「帰りたい」(プラス「ため息」や「舌打ち」)を連発します。180度反対ですね! 言葉だけじゃなくて、イスに座る姿勢からして違うんです。前者の大半は、姿勢正しく座っていて、勉強に集中する時間が長いのに対し、後者の大半は、机に突っ伏したりして姿勢が悪く、勉強に集中する時間が極端に短い。もちろん、少しの例外はありますが、十中八九はそうなんです。 家庭学習の時間に至っては、とんでもないくらいに差があります。何時間でも家で机に向かうことができる子と、生まれてこの方、家で勉強をしたことがない子。その差は、計算上は≒∞(限りなく無限大に近い)になりますから! 正の循環と負の循環持って生まれた気質によるところもあるでしょうが、このように、生まれ育った中で身に付けた「習慣」の違いは、驚くほど大きいというのが実感です。【勉強をする→わかる・できる→やる気がでる→勉強をする】という正の循環と、【勉強をしない→わからない・できない→やる気がしない→勉強をしない】という負の循環とでも言うべき習慣の差が、謙著に見て取れます。自転車のペダルをこぐのと同じ理屈ですね。まずこぐ。進む。こぎ続ける。こがなければ前へ進めない。子どもたちの勉強も、同じことが言えます。実は、この部分が一番大切なんですよね。勉強を何とかしようと思ったなら、まず動いてみること。 しかし、勉強をする習慣が身に付いていない子にとっては、予想以上に苦痛を伴うものです。運動不足の人が全力疾走するのと同じですから。下手をしたら、アキレス腱が切れちゃうかも知れませんよね。 例えば、今まで家庭学習をまったくしたことがない中学生に、ある時から1日2時間の家庭学習をさせようとしても、まず無理です。10分、30分、1時間…と慣らして行かなければ、通常は無理でしょう。中学生だと、生まれて10数年ですが、その間に身につけた「習慣」というものには、本当に大きな違いがあるものです。 学年かける15分最近はほとんど耳にしませんが、以前は、家庭学習の時間は、「学年かける15分」と言われたものです。中学3年生であれば、9(学年)×15分=135分で、1日2時間強の家庭学習が目安になります。それだけの家庭学習を毎日しっかりやっていると、「学校の勉強がわからない」といった状況にはならない。つまり、「学校の勉強をしっかり理解するために必要な、復習のための学習時間」の目安になる計算式です。私は、「子どもたちの学力差は、小学校4年生時点がターニングポイントになる」と考えています。この時期までに、「学年かける15分」の家庭学習の習慣付けができているか否かが、後々に大きな影響を及ぼすことが多いものです。 「ウチの子、黙っていたらまったく勉強をしないんです…」ってお母さん。そりゃそうですよ、子どもってそういうもんです。キャーキャー言いながら、喜んで勉強している子どもなんて、一度も見たことがないですから(笑)。結局、僕らの仕事は、その部分、つまり家庭学習の量を、塾での学習指導を通じていかに増やす方向に持っていくか。ということにかかっています。 二つのパターン学習塾のチラシを見ると、「入会後、○○点アップ!」とか「学年順位、××位から△位へ!」などといった成績向上者の例が出ていますが、断言します。そういう子は、@もともと、ある程度「自分で勉強をする習慣」が身に付いている子。そういう子が塾へ通い、今までわからなかった勉強のコツをつかんで、イッキに伸びて行くパターン。もしくは、A「自分で勉強をする習慣」がなかったものの、塾へ通うにあたって、今までの習慣を改めた子。つまり、本気で成績を上げようと決意して、今までのマイナスの習慣とさようならした子。そのどちらかです。 「自分で勉強をする習慣」がまったくなく、親に言われて、しかたなく塾に通い出した子。で、塾に通っているものの、明確な目標もなく、相変わらず家ではまったく勉強をしない。そういう子は、一時的に多少伸びたとしても、劇的に成績が上がるとか、常に成績が伸び続けるということはありません。 2か月で100点アップ!今年の中3塾生の中に、「入会後2か月で、約100点アップ!」を果たした生徒がいます。この100点、500点満点の定期試験での100点アップではなく、300点満点の学力試験での100点アップなんです。これって、かなりすごいことですよ!(定期試験で100点アップというのは、実はそんなに難しいことではありません)その生徒の場合は、完全に先ほどの@のパターンです。毎年、このように劇的に成績がアップする生徒が複数いるのですが、その大半は@のパターンなんです。Aのパターンで伸びる子というのは、残念ながら多くはありません。 習慣を変えることの困難ささて、学習塾講師として、子どもたちの成績向上というものを考え続けて行くと、遅かれ早かれ、必ずAのパターンの難しさに直面します。決まったパターンに持ちこみさえすれば、確実に成績は急上昇します。では、どうやって成し遂げるか?これはもう、「本人が自覚する」「本人が決意する」「本人が実行する」それ以外はありません。僕ら学習塾講師は、そのお手伝いをしているに過ぎません。本人のやる気と、優秀で熱心な学習塾講師の指導力がかみ合った場合は、本当に劇的に成績が伸びるものです。10×10=100の結果が出ます。反対に、どんなに優秀で熱心な学習塾講師が担当しても本人のやる気がゼロならば、0×10=0なわけですから、はっきり言って、お金のムダになっちゃいます! 繰り返しになりますが、成績が【劇的】に伸びる子のパターンは、大半が@です。Aのパターンで【劇的】に伸びるということは、どこの塾でもまれです。(「成績下位者は入会お断り」という塾ではほとんどないでしょうけど)それほど、習慣を変えるということは困難だということですね。 生活習慣としつけこのように、「勉強と習慣」というものを突き詰めて考えていくと、「生活習慣としつけ」というものに行き着くと考えます。食べ物の好き嫌いが少ないとか、決まった時間に就寝・起床するとか、公共のマナーを守るとか、モノを大切にするとか、弱者をいたわる気持ちをもっているとか、時間や約束を必ず守るとか、要するに、人としての基本的なルール・マナーが身に付いているかどうかといった部分です。もちろん、勉強が苦手でも本当にきちんとした立派な子がいますし、勉強が得意でも性格が悪いとか、とてもだらしないといった子がいます。勉強の出来・不出来と必ずしもリンクする部分ではありませんが、私は学習塾経営者として、塾生に対して「せっかく塾に通っているんだから、勉強もできるようになって、勉強以外の部分も伸ばしていこうよ」と思っています。 人は人を変えられないとは言え、言うは易しで、現実はそう簡単にはいきません。結局、「人は人を変えられない」ものですし、「自分を変えるのは自分しかいない」わけですから。書店に行けば、実に多くの自己啓発本がありますが、どの本を読んでも、要約するとほぼ同じ結論になるものと思います。つまり、「決意する・強く願う・自分の力を信じる・実行する」このうち、どれか一つが欠けたなら大きな結果を出すことはできない。逆に、全てがそろったなら必ず良い結果が出る。不勉強で鈍い私も、最近、その部分がやっと見えてきたように思います。 ことばを変えるというわけで、塾生のみなさんへ。勉強を何とかしようと思うのなら、まずは「ことばを変えること」からはじめようね。「無理」「できない」「わかんない」は、以後、使わないこと!「ここまではできた」「ここまではわかった」ということばを使うようにしよう。問題を解くたびに、「なるほど」「わかる」「できる(できた)」と口に出して言ってみるようにしようね。あのね、ウソみたいだけど、それだけですご〜く違ってくるんだよ。勉強ができるようになるためには、少しづつ自分に改良を加えていけばいいんだよ。それは勉強だけではないんだよね。仕事とか人間関係とかもそうだけど、うまく行かないときは、どこかに改良点があるってこと。だったら、それを探して改良を加えればいいだけなんだよね。 はじめの一歩は、ことばを変えてみること。あのね、不思議な話だけど本当なんだよ。ことばが変わると習慣が変わる。習慣が変わると人格が変わる。人格が変わると人生が変わる。そういうことなんだよね。実は、私も最近知ったんだけどね! |